以前からこのブログでもちょくちょく秦基博さんの話をしていたのですが、
先月大阪FM802 REQUESTAGEで偶然秦基博さんを生で見れたので解説していきたいと思います。
その日、出演アーティストがほぼバンドの中で、
1人だけシンガーソングライターとして出演していて、
すごくアウェーの中でのライブだったんですが、
一曲目『鱗』の弾き語りで一気に会場の心を掴んでいたのを見て
プロ中のプロだなと思いましたね。
鋼と硝子でできた声
秦基博さんのキャッチコピーでよく出てくるワードですが、
生で聞いて改めてその意味が理解出来ました。
繊細さの中に強い芯があるんですよね。
言葉にするとちょっと軽いですね(笑)
要するに倍音を多く含んでいるんです。
と言ってもイメージしにくいので、
雑踏に埋もれやすい声とでも言いましょうか。
飲食店なんかで店員さんを呼んでも中々声が届かなかったり、
人と会話してもよく聞き返されてしまったりとか、
そういう声です。
そういう声でありながら、芯が通っているので、
耳障りが心地良いんですね。
似たような声質のアーティストだと、
スピッツの草野マサムネさんですね。
草野さんも声の倍音が豊かなので、雑踏にかき消されがちだそうです(笑)
最高音hiB
ラスサビの(4:50~)
ものはすべて〜、の黒字の部分がhiBです。
基本的に秦基博さんの地声最高音はhiBくらいに収まってます。
後はmid2F#とmid2G#のロングトーンが続いてます。
これがすごく歌いにくい!!
大体男性の地声と裏声の喚声点がmid2F#~mid2G#くらいなんですけど、
ちょうどそこにロングトーンが来るんですよね。
地声の張り上げで歌えるには歌えるんですけど、
秦基博の声質が柔らかいのもあって、
張り上げて歌ってしまうと曲の良さが出なくなってしまうんですよね。
なのでそこをミックスボイスを出して歌わないと綺麗に歌えないのですが、
なんせ喚声点ギリギリのラインだから声帯のバランスを保つのが難しい。
インナーマッスルがしっかり備わっていて、声帯に力みが入っていない状態をキープする。
高い声になると口が大きく開いていますが、よく見ると下顎に力みも入っていなくて、
脱力した状態で上顎を開くように口を開けているんですよね。
高い声を出すポイントの1つです。
秦基博さんはこの辺の体の使いこなし方が上手いんですよね。
それのおかげでか、抜けにくい声質の中でも芯が通っていたり、声の伸びが出たり、歌の上手さにつながってきてるんですよね。
(歌の上手さは高音域が出るか出ないかだけじゃないんだぜ!!)
同じ声質を持つスピッツの草野さんの曲をカバーしてる動画です。
『楓』も歌ってみると分かるのですが、すごく難しいんです。
さっきの『鱗』と同じなんですが、ロングトーンが喚声点ギリギリを攻めてるんですよね。
そこをミックスボイスで柔らかく綺麗に出せているのがすごい。
(2:20~)のロングトーンとかすごく良い(笑)
音域的にはmid2G#のロングトーンなので、ハイトーンと言われるものとは違いますが、
別の良さと、出す難しさがありますね。
弾き語りで本領発揮
雑踏に埋もれやすい声と言うのは、
周波数的にドラムやらギターやらベースやらストリングス(バイオリン等)が、
いっぱい鳴ってるトラックでは声が抜けにくいということなんです。
なので、ギター1本の弾き語りの方が周波数的にも音量的にも、
1番声が最適化されるんですよね。
自分の声も割とそういう声質なので、これからの音楽活動方針や、
ミキシングの勉強にもなりました。
最新曲の『仰げば青空』を聞いてもらっても、伴奏はそこまで多くな鳴っていませんよね。
サビでストリングスやドラムが鳴る以外はほとんどギターとピアノだけですよね。
歌をより良く活かせるように作らています。
カラオケランキング常連
STAND BY ME ドラえもんの主題歌で有名になった
『ひまわりの約束』
歌うのが難しいと言われる秦基博さんの曲ですが、
カラオケランキング上位に毎度食い込んでいるほどよく歌われているのはなぜか。
もちろん完璧に歌いこなすとなると難しいのですが、
音域的に難易度が優しくなっています。
サビの主軸はmid2Fとmid2Gですが、それも少しだけ。
しかもロングトーンはほぼほぼ無いので、地声の張り上げでも違和感があんまりない。
最高音のhiA#(1:37~)
これからも、の黒字の部分。
そこの一瞬だけしか出ないので、裏声でもおかしくならない。
そう考えると音域的にはとても歌いやすい曲になります。
狙って作ったのかはわかりませんが、
カラオケランキングに入る曲はこういうことも考えて作られていたりします。
(もちろん良い曲であるのは前提です!)
余談
メジャーデビューが26歳と音楽業界の中では遅め方なのですが、
インディーズの時の音源がちらほらありまして、
その時の声がまた絶妙にいいんですよね〜。
朝が来る前に、のインディーズver
普段はバンドばかり聞くのですが、
こういうシンガーソングライター系の曲も良いですね。
歳を取ったからでしょうか(笑)
あとはおすすめの曲。
同じ事務所、オーガスタのアーティスト松室政哉さんとのコラボ曲『オレンジ』
歌詞のリアル感とサビの歌声が聞いてて気持ちいい!
秦基博さんは中学生の時にバスケをやっていたみたいなので、
その頃にインナーマッスルとか歌に必要な基礎体力が身についたのかなー、なんて思います。
ボイトレしているという情報は調べた限り見当たりませんでした。
歌が上手くなる! インナーマッスルを鍛える方法
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